もっぱら入門書・概説書のたぐいですけれど、たまに動物行動学の本を見るのは、個人的な楽しみの一つです。というわけで、今回はKindle Unlimitedに入っていた、藤田祐樹『ハトはなぜ首を振って歩くのか』(岩波科学ライブラリー、2015)を見てみました。
ハトの首振りについて、科学的な見地からアプローチしたもの。同時に、ハトやほかの鳥たちの関連した行動(歩行やホッピングなど)についても、様々な考察を加えています。首振りはバランス取りのためというよりも(そういう側面はあくまで部分的なのですね)、視覚による認識に大きく関係していたりする、と。なるほど、これは興味深いです。
著者も記していることですが、こうした動物行動学が面白いのは、ひるがえってそれが、人間の行動の諸側面に光を当てることになる、という逆説があるからです。つまりそれは、ある種の(間接的な)人類学なのだ、と。これこそまさに、膝を打つ一節です。