先月でしたか、『プリニウス』(ヤマザキマリ、とり・みき、新潮社)の最終巻が出たという話をききつけたので、この孟夏の折に読むことにしました。実は7巻くらいまでしか読んでいなかったので、残りを一気読みです。皇帝ネロの話が長々と続いていましたが、最後は、若い頃のプリニウスの話を経て、最後はヴェスヴィオ山噴火へと立ち戻っていきました。火山で始まり、火山で終わり、途中にも大火などの話もあって、どこか「火」が底流をなしているかのような展開でした。とくに、終盤はなかなか壮大な絵巻のような感じさえして、なかなか見事でした。
少し前に、古代ローマ史の専門家、本木凌二氏の『独裁の世界史』(NHK出版、2020)を読み初め、そちらもとくに前半のギリシア・ローマ編が面白く、この夏は古代ローマに想いを馳せる感じになりました。暑さも含めて、なんかこう、想像力が引き延ばされる思いがします。
でも、この後者の本については、独裁をどこか必要悪的なものとして、部分的にせよ肯定しているところに、ちょっと違和感を持たざるをえませんでした。民主主義にも、共和制にも、独裁はありうるという話は、なるほどと思うのですが、いったん独裁を容認するようなことになってしまうと、あとはずるずるとひたすら劣化するだけになってしまうような……。個人的には、あえて独裁にはノーといいたいところです。