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オマージュ映画2つ

配信で観た最近の2本。これらはいずれも、結構胸熱のオマージュで成立しているかのような作品でした。

最初は、劇場公開ではあまりヒットしなかったらしい『ジョン・ウィック コンセクエンス』。シリーズの4作目で、原題はちゃんとchapter 4となっていますね。

https://www.imdb.com/title/tt10366206/

これにドニー・イェンが出ています。以前のスターウォーズ番外編『ローグワン』に続いて、今回もハリウッド作品では盲目の達人という役どころ。で、大阪のコンティネンタルで戦う場面で、彼が杖でコンコンと床を突くのですが、これがブルース・リーの『死亡遊戯』の1シーンを彷彿とさせます。

さらに、クライマックス近く、パリのサクレ・クール聖堂の階段を登るアクションが、まさしく『死亡遊戯』へのオマージュになっている感じです。しかもそこで言及される『死亡遊戯』は、リーの死後にリライトされた薄っぺらい版ではなく、(もともとの構想だったという)3人で登っていくオリジナル脚本のほうではないか、と思えるのです。そう、ウィックたちは3人で登っていくのですよね。

イェンはリーの『精武門』(『ドラゴン怒りの鉄拳』)のドラマ版リメイクで、リーのアクションの完コピをしたことで有名になった人ですが、その後も長くアクション映画に出演してきました。もう還暦過ぎですが、そのアクションの切れはまだまだ健在です。はっきりいって、キアヌ・リーブスのアクションが見劣りするほどです。

さて、もう一本、こちらは北欧(ノルウェー)のホラータッチのサスペンスものです。『イノセンツ』がそれです。監督のエスキル・フォクトがすでに公言しているようですが、これ、大友克洋の名作漫画『童夢』への、実にすばらしいオマージュになっています。

https://www.imdb.com/title/tt4028464/

というか、もはやこれは単なるオマージュを超えているかも。『童夢』を日本で安易に実写化したら、飛行シーンとかばかりに力点が置かれて、主人公たちの怒りや焦燥といった肝心な部分が薄っぺらくなってしまいそうですが、『イノセンツ』はむしろ能力をもった子たちを中心に、その内側の不穏な感じを淡々と描いていきます。

そしてクライマックスは、なんとも静かながら、とても緊張感に満ちた対決シーン。これはもう文句なしの名場面。まさに『童夢』の正当な焼き直し、といって差し支えないかと思います。